世の中にある商品の価格が明確な戦略で決められていることをご存知ですか?
人はゴルディロックス効果により、無意識のうちに極端な選択を避ける傾向にあります。例えばマクドナルドのポテト。
あなたも思い当たる節があるかもしれませんが、大抵の人は気づくとMサイズを注文しています。さらに、吉野家の牛丼は並盛りを注文する人が多いことも事実。
このように極端な選択を嫌う特製を活かすことで、価格を変更して利益をコントロールすることも可能になります。
ゴルディロックス効果は人間心理
極端な選択を嫌うことを心理学用語でゴルディロックス効果と呼び、童話に出てくる少女が熱すぎず冷たすぎないスープを飲むことから名付けられたもので、人間真理ということ。
ゴルディロックス効果は、商品に関する情報が少なく、価格の選択肢が2つしかないと約7割の人が安いほうを選び、価格の選択肢が3つになると程度が真ん中のものを選びやすいというものです。
「Sはひもじいし…Lはいらない…じゃあ真ん中安定!」ということでマクドナルドのポテトであればMサイズ。スターバックスのコーヒーであればトールサイズが一番売れるということです。
つまり、一番売れるサイズ(売りたいサイズ)の利益率を最大にすることで、大きな収益をあげることができますよね。
僕は普段スターバックスに行くことが多いのですが、やはりトールサイズを買ってしまいます。【スタバではグランデを買え】と本に書いてあったのに…(笑)
3種類の選択肢があれば2種類のように両極端な選択ではなくなるので、知らないうちに中間の選択肢に強く惹きつけられてしまっているからでしょう。
では、販売したい商品にサイズの概念がなく、比較対象になる物がない場合を考えていきましょう。
おとりを使って価値を高める
選択肢が少ない場合、選択肢を与えずに購入してもらうことが重要です。
例えば誰も買わないような「サビた古臭いPC」と「キラキラ光るMacBook」があればどちらを買いますか?
当然MacBookの方を購入しますよね。
つまり、古いPCはMacBookをより魅力的に見せるためのおとりなわけです。もし顧客が、競合他社の製品と比較をしていたとしても、いずれMacBookへの魅力が大きくなることは明白。
つまり、いつの間にか自社製品同士の比較に気持ちが移ってしまうのです。そうすれば、古いPCを同じ棚に並べたときに、MacBook以外の選択肢が自動的に排除され、売りたい商品だけが飛ぶように売れていく仕組みがおとり戦略です。
企業によっては主要製品の売れ行き次第で、おとりになる製品をわざわざ用意するといった戦略を実施する場合も少なくないと思います。
サービスにも応用できる
おとり戦略は商品ではなくサービスにも有効利用できます。売上が伸びないA社と売上が好調に伸びているB社をモデルにして比較してみました。
- A社(売上減)・・・帳簿から決算書まで作成してくれる会計事務所(20万円)
- B社(売上増)・・・決算書のみを作成する会計事務所(5万円)
加えてA社は節税対策やフォローも万全、B社は必要な書類だけを作る簡易サービスだとします。
一見、質の高いサービスを提供しているA社の方が儲かっているように思えますが、実はB社の方が儲かっているとしたらどういうケースが考えられるでしょうか?
価格が安いから大量に案件を抱えているかもしれませんし、他の事業が儲かっているかもしれません。しかし、予想に反しておとり戦略を上手く使うことで多くの収益をもたらしていたのです。
確かにB社は価格を抑えているのでA社よりも顧客数は多いですが、どうしても利益は下がります。しかし、決算書を作成した後のステップを違うサービスにしていました。
A社では節税対策やアフターフォローがパッケージ化されていますが、B社は節税対策やアフターフォローを別のサービスとして用意することで、別途料金を受け取ることができています。
他のサービスを提供するのは難しく感じるかもしれませんが、専門性の高い分野であるため、新規顧客を開拓する労力よりも、別サービスの契約は容易なものだったんです。
この場合、B社は「価格の安いサービス」と「付加価値の高いサービス」に分けて販売したことで、大量の新規顧客を生み出しながら、上手く高利益のサービスを販売するビジネスモデルになっています。
つまり、安いサービスをおとりに使って高利益の商品を販売し、商品の種類を増やさずとも新たな価値を付加して、相手にベネフィットを強く意識付けることに成功したと言えるでしょう。
あなたがひねくれ者だとしたら…
ほんの少し意識を変えれば、身近な生活の中でゴルディロックス効果やおとり戦略を使っている商品が多いことに気付くと思います。
もちろん、あなたが商品を販売するときにも役立つ考え方ですし、どの企業がどんな戦略を使っているか読みとることができれば、様々な知識に応用できますよね。
ぜひ、おとり戦略に使われている魅力のない物を手にとってみてください。もしかすると、従業員が必至の形相で違う商品を進めてくるかもしれません(笑)
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